アニメ・壁紙・漫画スキャンの拡大:線画を潰さない設定
線画とベタ塗りが写真より拡大に強い理由、4K と 8K の壁紙に本当に必要なピクセル数、そして輪郭を灰色にしないための設定。
アニメとイラストは AI 拡大がいちばん得意な素材です。モデルがアニメ用に作られているからではなく、素材が素直だからです。硬い輪郭、大きな単色面、テクスチャがほとんどない。私たちのところに届く「アニメが失敗した」という相談は、ほとんどがエンジンのせいではなく、避けられたはずの三つの判断によるものです。
線画が拡大に耐える理由
線画は輪郭と塗りの二値しかないので、間違えようがありません。写真は肌・髪・葉・布をモデルに作らせるのに対し、線画は線を線のまま残すだけです。だから 4x までなら、合成っぽく見えない結果がだいたい出せます。
アニメ絵を実際に傷めるのは絵の外側です。書き出し時のアンチエイリアス、入手先による JPEG のブロックノイズ、そして最後に開いたアプリが勝手にかけた再サンプリング。輪郭は私たちの手に届く前に柔らかくなっていて、柔らかい輪郭は描き直されるのではなく、さらに均されてしまいます。
必要なのは結局どのサイズか
先に目標寸法を計算して、それから倍率を選びます。倍率の見栄えではなく出力ピクセルで決める、それだけです。
| 目標 | ピクセル | 1920×1080 から |
|---|---|---|
| 1080p モニター | 1920×1080 | 拡大不要 |
| 1440p モニター | 2560×1440 | 1.33x はないので 2x |
| 4K モニター / テレビ | 3840×2160 | ちょうど 2x |
| 8K モニター | 7680×4320 | ちょうど 4x |
| A4 印刷 300 DPI | 2480×3508 | 4x してから切り取り |
| A3 印刷 300 DPI | 3508×4961 | 8x してから切り取り |
1.3 倍しか要らないなら、4x をかけて後から縮めるのはやめてください。先に原画へ 2x をかけ、その結果を目標寸法まで縮小するか、割り切って 2x のままにし、余分なピクセルは切り取り用に残します。
漫画のスキャンは別問題
スキャンはきれいな線画ではありません。スクリーントーン、紙の粒子、インクのにじみ、そしてたいていスキャナソフト由来の JPEG ブロックがあります。デジタルの線画と同じ扱いをすると、次の二つが起きます。
- スクリーントーンがモアレになる。網点はテクスチャであり、超解像モデルはテクスチャを鋭くするのが得意です。網点部分に 4x をかけると点が主張し始め、干渉縞が出ることもあります。トーン主体のページは、2x と弱めのノイズ除去がいちばん原画に近いままです。
- 紙の粒子も一緒に強調される。モデルは紙と被写体を区別できません。ノイズ除去は「低」か「中」が適正で、最高にするとインクの質感ごと消え、線が波打つことがあります。
スキャンはイラストモデル、ノイズ除去「低」、2x から試してください。線が多くトーンが少ないページなら 4x でも大丈夫です。トーンが密なページは、拡大するより高い DPI でスキャンし直すほうが効きます。
アニメ向けの設定、まとめて一つに
- モデル:イラスト用。私たちが最もよく見る失敗です。アニメ絵を写真モデルに通すと線が甘くなり、平らだった面にテクスチャが生えます。
- ノイズ除去:低。ブロックノイズが見える JPEG なら中。最高は線画と古いスキャン専用で、それでも最後の手段です。
- 倍率:2x か 4x。200 ピクセルのドット絵やシールなど、本当に小さい素材だけ上へ。
- 形式:平らな色、硬いエッジ、透過があるものは PNG のまま。PNG のスクリーンショットを JPEG で保存すると、残したかった鋭さだけが落ちます。
- 重ねがけはしない:必要な倍率で一度に処理するほうが、2x を二度重ねるより結果が良くなります。
毎週のように見る三つの失敗
線画に写真モデル。壊れてはいません。ただ本来より甘くなるだけで、それを見て「このツールはダメだ」と判断されてしまいます。きれいな壁紙に 16x。1920×1080 の壁紙に 16x が要る部分はどこにもありません。ファイルサイズが四倍になり、100 % で見える作り物のディテールが増えるだけです。絵のスクリーンショットを拡大する。スクリーンショットには再サンプリングと圧縮がすでに入っています。元ファイルがどこかにあるなら、それを使ってください。
ご自分の絵で試すなら:無料で画像を拡大、アカウント不要で 3000×3000 ピクセルまで。倍率の選び方は倍率ガイド、紙に印刷するなら印刷サイズ表をどうぞ。